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トンネルドリルジャンボ

〜世界トップレベルのさく岩技術で大地を切り拓く〜
古河機械金属グループ/古河ロックドリル株式会社

関越自動車道の関越トンネル、東北新幹線(JR)の八甲田トンネル、 そして青函トンネル…日本全国に張り巡らされ、人々の重要なライフラインとなっているトンネルの数々。

これらのトンネル掘削を手掛けたのは、 古河機械金属株式会社の中核事業会社である 古河ロックドリル株式会社が開発した 「トンネルドリルジャンボ」

同社はさく岩機メーカーとして 世界のトップスリーの一角を占め、 同製品においては 国内90%という圧倒的なシェアを誇る。
同社のこだわりに迫りたい。

ドリルの役割は意外にも…?

それでは、長く広大なトンネルは一体どのように掘り進めて行くのだろうか?
この写真を見る限り、大型トンネルを掘削するにしてはドリルが細いような気がするが…。

「みなさんそう思われますよね。ではトンネルを掘削する方法をご説明しましょう。
山岳トンネルを建設する場合、まずドリルジャンボが切羽(トンネルの先端)部分に 50〜80p間隔で150本、深さ3m程(施工状況により異なる)の穴を掘ります。
そして150本の穴すべてにダイナマイトを入れて爆発させ、硬い岩盤を崩していきます。
崩れた石はホイールローダーなどで取り去り、 また同じ作業を繰り返して、徐々に掘り進んで行くという仕組みです」 (古河ロックドリル 高崎吉井工場 副工場長)

つまり、ドリルジャンボの役割は、ダイナマイトを装填するための穴を掘るというものなのだ。
さらに驚いたのは、このドリルの原型は、約100年前、「足尾銅山」で開発されていたということ。

国産ドリル第一号は足尾銅山で生まれた

「1875年創業の古河鉱業株式会社(現、古河機械金属株式会社)は、『電気の時代』を迎えるにあたり、 電気を通すのに不可欠の素材・銅を産出する会社でした。
当時積極的に欧米の先進技術を導入し、水力発電や抗内の作業場をつなぐ内線電話などを取り入れていったといいます」

「銅鉱石の採掘作業については、つるはしやノミ、金槌で叩く手掘り作業が主でしたが、足尾銅山では1885年に輸入品さく岩機を導入します。
その結果、従来の手掘りに比べて作業量は3倍ほどになったといいます」

「しかし海外から輸入されたさく岩機は約10sと重く、 日本人の体形に合わなかったことから、作業者の負担は大きかったようです。そういった現場の声をもとに、1914年、機械部門が改良を加え独自に開発したのが手持式さく岩機。
これが国産さく岩機の第1号となります。
重量を4s程度に抑え、現場のニーズにしっかりと応えたものでした」

その後、日本は高度経済成長時代へと突き進み、 高速道路や新幹線などを日本全国に張り巡らせるため、 あらゆるトンネルの建設が急ピッチで進められて行きます。

そのため、より大きなパワーとスピードが求められ、さく岩機も大型化、 そしてトンネル用の機械「トンネルドリルジャンボ」が開発されていった。

「さく岩機開発当初から重視していたのは、現場の要望を最大限に取り入れるということでした。
『ドリルジャンボ』に至っては、トンネルの設計図が決まると、 現場の声をヒアリングし、現場ごとにオーダーメイドしていました」

例えば北陸自動車道の山王トンネルで活躍したのが「トンネルワークステーション(TWS)」。
これは、掘削、ずり出し(崩れた石を取り去る作業)、岩盤固定のためのロックボルトの打ち込み、 コンクリート吹付け機など、トンネル造りの切羽作業工程に必要な機材をすべてガントリー(台車)に搭載し、 作業の効率化を図ったもの。その長さたるや、全長200mにも及んだという。

そして、「ドリルジャンボ」の技術はトンネル工事のみならず、ダムや地下発電所工事などでも活躍していく。

その他、同社が開発した、岩盤を縦に掘削する「油圧クローラドリル」や、岩を破砕する 「油圧ブレーカ」などのさく岩機は、線路の敷石、砂利、セメントの原料となる石灰石の採掘や、 工事現場でのコンクリートの破砕などにも使用され、こちらも国内外で高いシェアを誇っている。

そこまですごいトンネルドリルジャンボの性能の秘密は?

「岩盤を掘削するにあたりドリルジャンボでもっとも重要な役割を果たすのがドリフタです。
心臓部となるドリフタが行う動作、それは、回転+推力+打撃です。

まず、岩盤を掘削するためには、ビットに「打撃」を加えると同時に「回転」を与え、 さらに着岩性をよくするためにビットを推し出すように「推力」を加えます。
この3つの動作がうまく調合されて初めて最大限の力が発揮できるのです。
ちなみに1分間で
150〜200回転
推力は1〜2t
打撃は3000回加わっています」

その結果1分間で約3mの穴を掘り進められるのだとか。

ここで忘れてはならないのが、 同社独自の技術「デュアルダンパ」だ。

「打撃による力は直接伝わるものではなく、叩いた衝撃波が移動することで伝わります。 そのため、ビットがきちんと着岩されていれば、打撃によるエネルギーが岩盤に伝わって砕けます。
でも、ビットが何らかの理由で着岩していなかった場合、衝撃波はそのまま戻ってきてしまうのです。
そうなると、消費されなかったエネルギーの衝撃がさく岩機の心臓部であるドリフタに伝わって、故障の原因になってしまいます。
その衝撃を吸収して、ドリフタを守るのがダンパです」

同社の独自技術であるデュアルダンパは、穿孔ツールを直接岩盤に押し付けるプッシングピストンの働きにより、 ビットを確実に着岩させることが出来る。
その結果、トータルの穿孔速度、作業効率を格段に向上させることに成功している。

世界一への誇り

「足尾銅山の時代から100年。
私たちは、世界一のモノづくりに挑戦し続け、世界で認められてきたという誇りがあります。
これからもお客様のニーズに応えるべく開発・改良を重ね、海外にも積極的に進出して行きたいですね」

今後国内でも、今大きな注目を集めているリニア中央新幹線建設工事現場での活躍が見込まれているのだとか。

100年前に生まれた技術は、確実に進化を遂げ、大地を、そして日本の未来を切り拓いて行く…。

記事:阿部 桃子
写真: 古河機械金属株式会社
http://www.furukawakk.co.jp/

会社概要

古河機械金属株式会社(本社)

会社名 古河機械金属株式会社
URL http://www.
furukawakk.co.jp/
所在地 〒100-8370
東京都千代田区丸の内2-2-3
丸の内仲通りビル3階
会社名 古河ロックドリル株式会社
URL http://www.
furukawarockdrill.co.jp/
所在地 〒103-0027
東京都中央区日本橋1-5-3
日本橋西川ビル8階
連絡先 古河機械金属株式会社
企画推進室
広報・IR課
TEL:03-3212-6570
FAX:03-3212-6578

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