会社概要
会社名 | 株式会社 エステック |
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住所 | 〒142-0051 東京都品川区平塚2-7-13 |
電話 | 03-3788-8880 |
FAX | 03-3788-8881 |
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「黒猫スキャット」なるユニークなネーミングの商品が今、猫・カラスの撃退グッズとして巷で話題となっている。
同商品の特長としてまずはその可愛らしい風貌が目に飛び込んでくるが、
撃退グッズの実力もずば抜けており、発売以来客からのクレームはゼロだという。
猫を書けと言われたら誰もが書くような模範的な楕円形の顔に、ピンと立った耳が2つ。
もちろんカラーは黒。その猫顔にギラリと光る目に加え金色のひげと口が付き、
さらにはちょこんと突き出た鼻が収まり、一度見たら忘れられない黒猫スキャットの顔。
使用方法はいたって簡単である。
地面に立つような台座が付属された黒猫スキャットを、飲み終わった空のペットボトルのキャップ部に装着し、
猫やカラスの被害を受けている場所に2,3匹置くだけ。
黒猫スキャットは東京ドームの屋根にも使われているという
ガラスクロスなる丈夫な素材からつくられており、
屋外で雨風に晒されても50年は持つ強度というから驚きだ。
「目だけはホログラムのシールを使っていますので、この部分だけは3年程度で代えてもらう必要がありますがね」
同商品を発明した志村社長はこう話し
「このシールが太陽からの光を反射してギラギラと輝き、
まるで本物の猫の目のように自然界にいるネコやカラスには映り、
結果近寄らなくなるんですよ」
と、同商品を生み出したアイデアマンとしてのノウハウを説明してくれた。
黒猫スキャットを発明した志村春雄氏は
潟Gステックなるフッ素樹脂加工の製造・販売を行う企業の社長を務めている。
同社の設立は1993年。従業員数約50名のいわゆる町工場だ。
ただ、多くの町工場で見られる光景とは違う様子が同社工場内では見られる。
それは、現場で働いている従業員が若いこと。
平均年齢は20〜30代であり、優秀な職人技のバトンタッチがうまくいかずに、数年後には現場でモノをつくる人間がいなくなる......
そんな悩みを持つ中小製造業経営者から見れば羨ましく映る会社なのだ。
このような社風をつくったのは一重に社長の人柄であろう。
取材中にも伝わってくるフランクな人柄に嘘のない笑顔や言葉は誰でも嫌な気はしない
「この社長だったらついていって間違いない」
このような思いを同社員が持っていることは容易に想像できる。
さらに、社長がこれまで磨き上げてきた
フッ素樹脂加工技術は確実に次世代に受け継がれており、
今、同社は業界内で若き技術者がいるスペシャリスト企業としての存在感を示しているという。
社長の発明品はなにも黒猫スキャットだけではない。
小さな女の子が喜びそうな
ミニュチュアホットケーキをつくる型「フクロン」にはじまり、ゴルフマーカー、そして最近では蛇腹のタワーの中にLEDライトを埋め込み、バックにミラーを施した癒し系インテリアライトも製作している。
どれも同社が普段製作しているフッ素樹脂素材を使った商品であるが、その実は余ったハギレのような部分の有効活用が出発点であるというから驚きである。
「以前から思っていたことなのですが、どうしても製品をつくる際にはハギレのような部分が出ます。
この余った部分を使って何かをつくりたいなと。
そこで、
仕事の合間を見つけてはちょこちょこと政策に励み、
完成したグッズを普段お世話になっている人たちに差し上げていたんです」
当初はノベルティグッズであったという社長の発明品の数々だが、現在、不況の影響を受け本業の受注が激減したことでスポットライトが当たった。
「受注が減ったのであれば、自社でオリジナル製品を製作し、販売すればいい」
フランクな社長はポジティブな思考も持ち主でもあったのだ。
こうして発明品の数々が世に出ていくことになるのである。
黒猫スキャットは
先日7月2日テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」内のコーナートレンドたまごで紹介された。
そして今、爆発的に全国から問い合わせが来ているという。
「テレビで取り上げられて以降、
毎日のように取材依頼や大手百貨店の営業マンさんがお店に置きたいと
商談を持ってきてくれるんです。
ただ、これほどまで売れると思わなかったので
今はつくるのに必死で(笑)、嬉しい悲鳴ですがね」
ただ、いくら商品や社長自身がメジャーになっても、
モノづくり人として持っている軸がブレることはない。
それは、志村社長の人柄そのものであり、
商品に「遊び心」と「喜び」のエッセンスが入っているということだ。
ゴルフマーカーの絵柄は招き猫やフクロウであり共に幸福のシンボルであるし、ホットケーキの型フクロンの絵柄は笑った子どもの顔が愛くるしい。
「私がつくったモノを通して皆さんに幸せをお届け出来れば――」
そんな志村社長のメッセージが全ての商品に込められていると感じるのだ。
「黒猫の販売の方はもう従業員に任せていますので、
私はインテリアライト(YUKI AKARI)を含めた別の発明に今はもう気持ちがシフトしています」
そう話す志村社長の瞳は、
まるで
多くのこどもが時間を忘れ工作に夢中になっているときのその瞳と同じ輝きを放っていた。
これからも戸越銀座にある発明工場からは、続々とユニークな発明が生まれることだろう。
また、取材に訪れる日を楽しみにしている。