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出力軸トルク測定機能付きサーボモータ「ユニサーボ」

〜人に優しいアクチュエータ&ロボットソリューションを提供〜
株式会社ロボテック


出力軸トルク測定機能付きギヤードサーボモータ「ユニサーボ(UNISERVO)」。モータ容量80W、200W、750W、1500Wの4タイプを揃える

「人と触れ合うロボット」に応用可能な次世代型サーボモータ

アクチュエータ(電動や油圧、空気圧などで動きや力を作り出す装置)の開発販売やロボットソリューションの提案を手がけるロボテックは2015年7月、出力軸トルク測定機能付きギヤードサーボモータ「ユニサーボ(UNISERVO)」を発売した。「人と触れ合うロボットのための高度な安全性」を実現した画期的なアクチュエータとして、ロボットを始めとするさまざまな産業分野での応用が進んでいる。

従来のサーボモータでは実現できなかった高速応答、十分なトルク、安全性を同時に達成したのが「ユニサーボ」。その特徴を簡単にまとめると、下記のようになる。

  • モータの出力軸に、トルク(軸を回転させようとする力)を計測する高分解能(最大トルクの1万分の1)・高速応答の回転トルクメータを装備
  • 実測トルクに基づきシンプルかつ高速・高精度の制御を行うことが可能
  • 減速機付きで、コンパクトなのにトルクが大きい(電流でトルク制御を行わないため、容量の大きなDD〈ダイレクトドライブ〉モータを使用しない)
  • 1万倍という広いダイナミックレンジを持っているため、大トルク容量でも微細なトルク制御が可能

また「ユニサーボ」では、出力軸のトルクを高精度・高速応答で測定できるため、以下のような制御が可能になる。

  • トルク制限(定トルク制御)/既定のトルクを超えないように制限できるため、捲込まれ時に安全
  • ゼロトルク制御/出力軸のトルクが0(ゼロ)になるように制御するので、出力軸に人の手などで力を加えると簡単に動かすことができる。作業者がロボットアームを直接動かし、ロボットに動作を覚え込ませる「ダイレクトティーチング」などに応用できる
  • コンプライアンス制御/角度偏差(移動距離)の制御によって、擬似的にバネのような特性を実現可能。人が力を作用させるのと似た特性が得られる
  • バイラテラル制御/2台のユニサーボをトルクと回転角が等しくなるように制御すると、一方のユニサーボに伝わる感触や接触位置をもう一方のユニサーボに伝達することができる。

これらの制御により、「ユニサーボ」は

  • 高速でトルク制限が可能な、安全安心で人に優しいアクチュエータ
  • 精密トルク制御で、油圧や空気圧に替わる高速・精密な力制御
  • 感触(モノの硬さや、接触位置)の測定・伝達・再生
  • 重量物の上げ下ろしなどの作業を補助するパワーアシスト
などの用途に応用が可能だ。

パワーアシストや「感触の伝達」も可能に


モータの出力軸に高分解能・高速応答の回転トルクメータを装備し、トルク制限やゼロトルク制御、コンプライアンス制御、バイラテラル制御などを手軽に行える

「ユニサーボ」を活用したロボットソリューションの普及を目指すロボテックは、「ユニサーボ」の応用製品の研究開発にも力を入れている。現在、電動バランサ「ムーンリフタ(Moon Lifter)ML-80K」とパラレルリンクロボット「PL3-80」を販売中だ。

「ムーンリフタ(Moon Lifter)ML-80K」は、「ユニサーボ」の出力軸のトルクと回転速度を計測し、モータ出力を調整することで、重量物を軽い力で上げ下ろし可能。重い荷物(最大吊上荷重80kg)も軽い荷物のように扱うことができるため、重量物の上げ下ろし作業の補助に限らず、工場の生産現場で重い部品を規定位置に据え付ける、組み立てるといった作業にも活用できる。

パラレルリンクロボット「PL3-80」は、「ユニサーボ」を3台使い、パラレルリンクロボットを構成している。3次元の動きや感触を測定・伝達・再生できる。ロボットアームの先端を手で握って直接動かすことで、産業用ロボットなどに動作手順を覚え込ませるダイレクトティーチングも可能になる。

従来のロボットでは、ロボットアームが硬い物に当たると大きな力が発生したり、ロボットが壊れたりすることも少なくなかった。ところが「ユニサーボ」を使用する「PL3-80」は、出力軸に発生するトルクを常時測定しながら制御ができるため、これまでロボットが苦手としてきた「押しつけ制御」も安全に行えるのだ。

加えて「PL3-80」では、写真のようにロボットのアームに人の手が当たると、即座に動作を停止するため、思わぬ事故を防ぐことができる。また、記録・再生が可能なため匠の技の記録・再生・分析に用いることができる。

「PL3-80」を2台使用し、一方のロボットからもう一方のロボットに動作や感触を伝達できる「バイラテラル制御」も面白い。たとえば一方のロボットアームの先端に設けられたエンドエフェクタでボールを押すと、その感触がもう一方のロボットのエンドエフェクタに伝わるのだ。これによって、ボールに限らず、さまざまな物体の感触を遠隔地にも伝達し、バーチャルでその「感触」を感じる「3次元双方向力覚伝達システム」が実現できるようになる。


重量物も軽い荷物のように上げ下ろしできる電動バランサ「ムーンリフタ(Moon Lifter)ML-80K」。本体重量約15kg(ワイヤ・フック込み)、最大吊上荷重80kg、最大昇降速度500mm/s、電源AC100V(エア源・エア配管不要)

「ユニサーボ」が力を感知して吊り上げをアシスト。重い荷物も軽い力で上げ下ろし可能。電源OFF時や非常停止時はワイヤをブレーキで保持し、荷物の落下を防ぐ

各種生産現場で、重量物の精密な組み立て作業などに威力を発揮。重い部品の上げ下ろしを軽々行い、規定の位置に据え付けたり、組み立てたりすることが可能に

「パラレルリンクロボットPL3-80」。「ユニサーボ」を3台使用し、3次元の動きや感触を測定・伝達・再生できる。エンドエフェクタを手で握って直接動かすことで、産業用ロボットに動作手順を覚え込ませるダイレクトティーチングが可能。推奨可動範囲φ360mm/高さ150mm、繰り返し位置決め精度±0.05mm、最大許容搬質量10kg、電源AC100V

「PL3-80」では、従来ロボットが苦手にしていた「押しつけ制御」も簡単に行える。エンドエフェクタの先端部分が、波型の板の表面をなぞる動作を行っている

出力軸のトルクを常時計測しながら制御しているため、写真のエンドエフェクタに手が当たった場合、即座に動作を停止。エンドエフェクタから手が離れると自動的に動作を再開する

「PL3-80」を2台並べてバイラテラル制御を行っているところ。一方のロボットアーム先端のエンドエフェクタでボールを押した感触などを、もう一方のロボットに伝える「3次元双方向力覚伝達システム」を実現できる

人とロボットが協調して作業する社会の実現のために


2015年にロボテックを設立し、「ユニサーボ」および各種ロボットの開発・製造・販売を手がける吉本喬美社長

「ユニサーボ」は、ストレンゲージ(ひずみゲージ)、回転トルクメータ、ロードセル(荷重もしくは重量を量るセンサ)などを手がけるユニパルスが世に送り出した画期的な回転トルクメータ「UTMUシリーズ」で培った技術を応用した製品だ。

減速機付きのサーボモータの出力軸に回転トルクメータを装備し、そこで測定したトルク値を、ロータリーエンコーダで検知した角度信号とともにコントローラにフィードバックして、トルク制御ができないか――。

こうした構想のもとに、ユニパルスは「ユニサーボ」の開発をスタートし、3年をかけて製品を完成させた。

ユニパルスの吉本喬美社長は「ユニサーボ」を始めとする自動化・ロボット技術に関わる企画や技術開発、製品の販売を手がける新会社のロボテックを2015年に設立。トルク制御を通じて、人と機械が協調して作業できる新たなヒューマン・マシン・インターフェイスを実現することを目指し、研究開発に励んでいる。

同社が、人と機械が協調して作業できるヒューマン・マシン・インターフェイスの実現を目指し、「人に優しいアクチュエータ」の開発に取り組んでいるのには訳がある。日本を含め、先進国では今後少子高齢化が進み、就業人口が減少するため、これまで人が行っていた力仕事をサポートする、安全性の高いロボットや機器が求められるようになるとみられるからだ。

ところが従来のロボットや機器は、安全を確保するために、動力そのものに制限を設けたり、速度に上限を設けたりするため、動作が緩慢になることが多かった。そこで同社が「人と機械の協調作業」に不可欠な安全性と十分なパワー、俊敏性を兼ね備えた「人に優しいアクチュエータ」を追求するなかで、トルクを思いのままに制御できる「ユニサーボ」が生まれたのだ。

「人口減少と高齢化が進んでいる日本で、(高齢者も若者も)『ユニサーボ』を使った自動機械を活用することで、日本がもっと繁栄することを願っています」と、吉本社長は、同社が目指す社会貢献への思いを語った。

記事:加賀谷 貢樹
写真: 株式会社ロボテック
http://www.robotec.tokyo/

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