会社概要
会社名 | 松徳硝子(しょうとくがらす) 株式会社 |
所在地 | 本社工場/ショールーム |
電話番号 | TEL :03-3625-3511 |
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電球や蛍光管(蛍光灯)は、いずれ寿命がきてゴミとなる。
あまり知られていないが、使用済み蛍光管は、その約85%が埋め立てられている。
さらにこの蛍光管、水銀を含んでいるため、きちんと廃棄しなければ土壌汚染という問題があるのだ。
使用済み蛍光管をリサイクルし、グラスや器といったガラス製品を製造する企業があると聞き、取材に伺った。
松徳硝子(株)では、使用済み蛍光管から水銀を限りなく取り除いたリサイクル材料を使い、ガラス製品をつくることに成功した。
商品は「e-grass」と名付けられ、2005年に開催された東京都伝統工芸品チャレンジ大賞で、
都知事賞を受賞。
2006年の2月に正式発売された。
ガラスとはもともとリサイクル可能な素材だが、
その組成が商品によって微妙に異なるそうで、実はこれまでそれほど活発なリサイクルはされていなかったという。
もちろん、それぞれの工場内では当然されているのだろうが。
だが、蛍光管だけは違うと、同社代表村松邦男氏は説明してくれた。
「蛍光管というのは、市場に出回っている約95%が大手2社でつくられています。
ですから、その組成はほぼ同じなんですよ」
「e-grass」は発売以降、環境問題に貢献するエコ製品であると、公的な機関から次々と認められていく。
グラスとしては国内初のエコマーク認定を受け、2009年には
「東京都トライアル発注認定商品」に選出。メディアからの取材も多いという。
同社の創業は1922年。
代表の祖父が小樽でガラス製造の技法を学び、
その後上京して現在の会社を興した。
創業当時は電球用ガラスの製造を行っていたが、
後にグラスや食器といった製品に製造をシフトしていく。
ガラスの厚みが1ミリメートルを切り、繊細で美しいフォルムを持つ商品「うすはり」の発売をきっかけに、 プレミアムグラスをつくるガラス工房としてのブランディングを、国内外で確立していった。
従業員数は約40名。
20代の若い職人も多いが、「東京都伝統工芸士」や「墨田区マイスター」、「現代の名工」なる輝かしい称号を持つ匠が、
一つひとつ丁寧かつ迅速に溶けたガラスを吹き、かたちづくっていくのが同社のスタイル。
なので、ガラス製造工場というよりは、ガラス工房という言葉がふさわしい。
代表は3代目になる。
一時は職人として働いた時期もあったそうだが、今は経営に集中。
話をしていると伝わってくるが、環境問題にとても関心のある人物であることが分かる。
使用済み蛍光管の話に戻るが、
その数は年間約4億本もあるという。
蛍光管1本につき約10ミリグラムの水銀が含まれているというから、誰もが水銀による代表的な公害
「水俣病」を思い起こすに違いない。
代表は「e-grass」を誕生させたのだ。
さらに発売後は公的機関に対し、
何度も廃棄蛍光管の現状とリサイクルへの移行を説いているという。
村松氏と話していると、「自分のできる範囲でエコ活動をしよう」というシンプルだが、熱い思いが伝わってくる。
「私はガラス屋だから蛍光管をリサイクルしている。あなたは......」といった具合だ。
そんな氏に、今後の展望を伺った。
「究極は弊社製品にカーボンオフセットを付けることです。
ガラス工場は24時間365日、ガラスを溶かすための溶解炉を稼動しています。
そのエネルギーから排出されるCO2は、うちで年間約850〜860トン。
弊社製品の売上数とカーボンオフセットにかかる費用を考えると、1製品当たり約5円程度で実現できるでしょう」
同社製品は決して安くなく、1000円を切る商品はほとんど見当たらない。
年賀はがきのカーボンオフセット価格が5円。
――比較した場合、消費者にとってはまったく苦にならない額ではないか。
さらに氏は続けた。
「よくテレビのニュースで、役人さんたちが会議をしている中継が映るじゃあないですか、
あの場面で、一人ひとりにペットボトルが配られている映像がありますよね。
あのペットボトルを「e-grass」にすれば、Co2の発生が軽減できます。
実際、名古屋市やフランス・パリでは、すでに導入されているのですから」
ガラスを介したエコ活動に励む、村松代表の今後にますます注目したい。