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回転トルクメーター「UTMUシリーズ」

〜回転トルク測定の常識をくつがえす画期的なトルクメーター〜
ユニパルス株式会社

「軸を回転させる力」を測ることの難しさ

「トルク」とは、私たちが知っているようで、意味をよく理解していない言葉かもしれない。
わかりやすく解説すれば、モーターやエンジンなどの「軸」をねじる力、すなわち軸を回転させようとする力トルクという。


小型軽量、高精度、長寿命で高速回転にも対応可能な「UTMUシリーズ」。 測定レンジ±0.05Nmから±10000Nmまで豊富なラインナップを揃える

トルクの定義は、スパナなどの腕の長い工具でネジを締めるような場面を浮かべると分りやすい。
例えば、クルマのタイヤを交換する時に使うネジを締めたり緩めたりする時に使うレンチと呼ばれる工具で、 ネジを締める場合を考えてみよう。

ネジの中心から力を加える箇所までの距離が30cm (0.3m)、加える力が60kg(大人の男性が工具の端に全体重を掛けたとして)の場合、トルクは、力とこの距離のかけ算で計算され、この場合、トルク=(60kg×0.3m)=18kgmという値になる。工具の長さを長くすれば、長さに比例して大きなトルクを発生させることができる。例えば、工具の柄にパイプを差して長さを2倍にすれば、同じ力でもトルクは2倍にすることができる。このように、軸をねじろうとする力は、力の大きさだけでなく、工具の腕の長さでも変化するので、力と長さの積で表現する。
産業分野では、このトルクを精密に測定することが求められることが少なくない。たとえばモーターやエンジン、ポンプ、送風機、タービンなどの回転機械に加え、ローラーや歯車など、トルク測定が必要とされる分野は枚挙にいとまがない。

ところが意外なことに、これまで連続的に回転する機械のトルク測定を手軽に行える装置は、ほとんどなかった
一般的には、回転する軸に「ひずみゲージ」というセンサーを取り付け、そこで得られる電気信号を「スリップリング」(図解参照)という部品を通じてやりとりし、トルクを測定することが多い。


「スリップリング」を利用した従来のトルク測定器の例。
軸と一緒に回転するリングにブラシを押しつけ、すり合わせながら、「ひずみゲージ」
で検知した電気信号を指示計などに送る

スリップリングは、軸とともに回転するリング(回転電極)に、電気が流れやすく摩擦係数が小さい金属やカーボン等のブラシ(固定電極)を押しつけて、すり合わせる構造になっており、ブラシが摩耗するために、定期的な清掃とブラシの定期交換が必要になる。
また、ブラシと電極の間で摩擦熱が発生し、軸の回転速度に応じて軸の温度が変化するため、安定性や精度が悪く、高速回転にも対応できない。
更に、ブラシの寿命が短く長時間の測定が難しいなど、スリップリング式のトルク計には多くの問題があった。
そのため、スリップリングを使わない「スリップリングレス」のトルクメーターが広く求められていた
だが従来は、回転する軸にかかるトルクをスリップリングレスで測定するためには、回転する軸の「ねじれ角」を光や磁気で検知するような、大がかりで高価な装置が使われてきた。

小型軽量・高精度・非接触でトルクを測れる「UTMUシリーズ」


「UTMUシリーズ」内部の構造。
軸中央に取り付けられた円形の電子回路基板が回転しながら、 トルク測定用の電力を受け取り、ひずみゲージからの信号を伝送する

こうしたトルクメーターの世界に一大革新をもたらしたのが、ユニパルス株式会社が2012年5月末から一般販売を開発した「UTMUシリーズ」である。

同製品には、リングやブラシのように、常に摺動(しゅうどう)している電極がない
右図の回転軸上の薄くなっている板の部分にひずみゲージが貼付けられており、軸に固定されている円盤状の電子回路基板上にひずみアンプ(ひずみゲージの信号を増幅する装置)、マイクロコントローラーなどからなる電子回路が配置してある。

この電子回路基板が、軸と一緒に回転しながら非接触で固定側の電子回路から電力を受け取り、ひずみゲージが検知した信号をデジタル信号に変換し、非接触で固定側の電子回路に伝送する。
トルク測定に必要な電力もひずみゲージの信号も、まさに「スリップリングレス」でやり取りされているわけだ。

現在販売中の「UTMUシリーズ」のラインナップには、下記の17種類がある。

  • 「UTMU-0.05Nm」(測定レンジ±0.05Nm/ニュートンメートル)
  • 「UTMU-0.1Nm」(同±0.1Nm)
  • 「UTMU-0.2Nm」(同±0.2Nm)
  • 「UTMU-0.5Nm」(同±0.5Nm)
  • 「UTMU-1Nm」(同±1Nm)
  • 「UTMU-2Nm」(同±2Nm)
  • 「UTMU-5Nm」(同±5Nm)
  • 「UTMU-10Nm」(同±10Nm)
  • 「UTMU-20Nm」(同±20Nm)
  • 「UTMU-50Nm」(同±50Nm)
  • 「UTMU-100Nm」(同±100Nm)
  • 「UTMU-200Nm」(同±200Nm)
  • 「UTMU-500Nm」(同±500Nm)
  • 「UTMU-1000Nm」(同±1000Nm)
  • 「UTMU-2000Nm」(同±2000Nm)
  • 「UTMU-5000Nm」(同±5000Nm)
  • 「UTMU-10000Nm」(同±10000Nm)

従来製品よりも測定レンジが広く、小型軽量であることが大きな特徴。「UTMU-0.05Nm」は重量160gで、写真の「UTMU-1Nm」は重量180gという軽さ。小型軽量ゆえ取り扱いが非常に手軽で、写真のように、駆動側と負荷側との間に簡単に取り付けることができる。


駆動側(左側)と負荷側(右側に、回転トルクの測定対象となる歯車やローラー、ファンなどを取り付ける)
との間に同社の「UTMU」を装着し、手軽に回転トルクを測定できる

非接触の「スリップリングレス」によるメリットも大きい。「UTMUシリーズ」は、従来製品では不可能だった最高25,000rpmの高速回転に対応し、ほぼベアリングの寿命一杯までトルク測定が行えるようになった。そのため従来のトルクメーターではほぼ不可能だった、測定対象の製品が壊れるまで回し続ける破壊試験にも使用できる。計測精度も1/3000と非常に高く、微少な回転トルクも高精度に測定が可能だ。

繰り返しになるが、「UTMUシリーズ」は小型軽量で取り扱いが手軽なため、同製品を測定対象の機器に組み込み、リアルタイムでトルク管理を行うことが可能。
「UTMUシリーズ」には±5Vのアナログ電圧出力が標準装備されているので、データロガーや各社のPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)等と接続し、トルク管理システムを手軽に構築できる。

「UTMUシリーズ」が広げるトルク測定の世界

さらに、「UTMUシリーズ」はさまざまな業種業界のものづくり・研究現場で、従来トルク測定は難しいと思われていた分野に新たな用途を切り拓く可能性がある

たとえばその1つが、歯車の最終組立時に行われる「噛み合わせ検査」(「歯当たり検査」とも)。同検査では一般的に、検査員が完成した歯車を手で回し、その感触で製品がきちんと組み上がっているかを判断している。「UTMUシリーズ」を活用することで、このように職人の経験と勘に頼っていた「官能検査」の自動化が行えるようになるという。

また「UTMUシリーズ」は、化学プラント等で液体などを混合させるプロセスにも活用できる。「UTMUシリーズ」で撹拌機のトルク測定を行い、液体の混合状態や化学反応状態をリアルタイムでモニターすることで、生産効率や「歩留まり」の向上につながることも期待される。


各種ローラーの回転負荷の計測を始めとする「UTMUシリーズ」の使用例。これまで人手による官能検査に頼っていた歯車の「噛み合わせ検査」の自動化も行えるようになる

単一乾電池並みの大きさのUTMUで、攪拌機のトルク測定を行っているところ

ユニパルスは、吉本喬美(よしもと・たかみ)代表取締役会長兼社長が、1970年に数名の技術者とともに設立。
ユニークなアイデアと高度な技術を強みとする研究開発型メーカーで、設立以来42年間、重量計測、荷重計測、ロードセル、データロガーなどの工業計測分野一筋に励んできた。

「じつは40年前から、現在の『UTMUシリーズ』のような製品を作りたいと思っていましたが、良い部品がありませんでした。ところが最近になって各種部品の小型化・高性能化が進み、私のイメージしていた製品をやっと作ることができるようになったのです。『UTMUシリーズ』は、現在入手することができるトルクメーターで、世界最高水準のものと自負しています」と吉本社長。

ユニパルスは設立以来、得意のパルス技術を駆使し、まだ世の中にないユニークな製品を作り続けてきた。それが同社のモットーであり、「ユニ+パルス」からなる同社の社名の由来でもある。

「ユーザーとの距離を縮めるために、あえて代理店を置かず、直販で製品を売りながら、市場を作ることから手がけてきました。当社の製品は、他社との競争がないものがほとんどです。競争になるものは作らないというのが、当社の揺るぎない信条です」と吉本社長は語る。

記事:加賀谷 貢樹
写真: ユニパルス株式会社
http://www.unipulse.com/jp/

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会社概要

会社名 ユニパルス株式会社
所在地 〒103-0005
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連絡先 TEL:03-3639-6120(代表)

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