会社概要
会社名 | 株式会社東京ベル製作所 |
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住所 | 〒116‐0011 荒川区西尾久4-8-4 |
電話 | 本店 03-3893-5741 |
FAX | 本店 03-3800-5081 |
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「うわぁ、懐かしい!」――この画像を見てそう感じる人は多いだろう。
「これまで半世紀に渡り自転車ベルをつくり続けてきた当社の製品数は、今では数え切れないほど無数にあります。
ですので、当然ですがかなりコピーもされていますよ」
そう話すのは(株)東京ベル製作所の三代目社長市村旭ニ氏だ。
ただ、実際には父である先代が社長に就任してから本格的に現在の自転車ベル製造・販売事業に着手したということで、親子二人三脚で会社と業界を成長させてきたといえる。
その結果、
今では同社製の製品はヨーロッパやアメリカにも輸出され、また、技術はライセンス供与というかたちでロイヤリティを得、台湾を中心としたアジア地区に輸出しているそう。
同社名には「東京」という肩書きが付いているが、
その実は日本という肩書きがつくようなワールドワイドな自転車ベルメーカーなのである。
ダイカスト鋳造の技術を生かして
「残念なことですが、
今後日本の自転車業界が右肩上がりの成長をすることは期待できません、
事実、現在日本で販売されている自転車の多くは海外からの輸入が9割近くあり、
私ども自転車部品メーカーは厳しい経営が続いておりますから」
同社はその社名の如く自転車のベルを専門につくっているメーカーかと思いきや、時代の波に左右されないようにと事業の枝葉を広げてきた。そして、そこにはベルの製造技術で培ってきた匠の技が活かされているというのだ。
現在では「チン♪」と鳴るタイプのベルが多いが、過去のベルというのは必ずベルを鳴らすための引き手が付き、
その引き手を引くことによってベル内のギアが回り鐘を鳴らすという仕組みであった。
そして、そのギアを製作するのに必要な技術がダイカスト鋳造であったと社長は話す。
ダイカストというのは金属製品を大量生産するための鋳造技術であり、
この技術を応用して同社ではデパートや商業施設のディスプレイに必要な什器やそれに順ずるアイテムであるフロアースタンド等の製品、また、洋服をかける際に使う金属製のフック等のアイテムを製作している。
「金属製がいいんです」という客のために
「この樹脂製タイプのベルは音響体がベルの下部に位置しているので、雨が降ってもその音色が濁ることはありません」
そう言って社長が見せてくれたベルはオレンジ色やブルー、グリーンの 半透明なカバーがカラフルで目をひく「クリスタル・ベル」なる製品。
社長曰く
「このベルならば水道の蛇口の下に置いても音が出ますよ(笑)」
外見を見ておやっ?
と思う人も多いのではないだろうか。
そう、このクリスタル・ベルには一般的なベルには必ずある引き手が存在しない。
その代わりに半透明でカラフルな蓋が左右どちらにでも回り、その際に音が出る仕組みになっている。
自転車大手メーカーであるブリヂストンサイクル(株)が同社のこの発明を気に入ったそうで、主に子ども向けの自転車に採用。今では街中で子どもたちが乗っている自転車の多くに同社製のこのベルが取り付けられている姿を見ることができる。
「うちは開発にも力を入れていますからね」
と社長が力強く語るように、
創業から半世紀たった今でも時代のニーズを掴み取る同社のモノづくり企業としての姿勢は変わらない。その結果、デザインに関する賞をこれまでに数多く獲得しているのも同社の特長だ。
だが一方で「この金属製の音色がいいんだよね」という昔ながらの「ジリン・ジリン♪」という金属ベル音を好むユーザーの期待も同社は裏切らない。
生産数こそ減ったが昔ながらのダイカスト鋳造により製作したギアを使ったベルを、現在でも埼玉は加須にある工場でつくり続けているというこだわりをみせる。
環境と健康によい自転車
ちょうど今から約1年前の2008年夏。
自動車の燃料であるガソリン価格はかつてないような価格に跳ね上がり、
その影響として自動車を移動手段として放棄する人がではじめた。
そして、
そんな人々が自動車に代わる交通手段として選んだのが自転車だったことは記憶に新しい。
今まで車通勤で勤務先に通っていた人が
自転車に乗り換えさっそうと道路を走る。
その姿は過去の“ちゃりんこ(ちゃり通)”というイメージはない。
そして、自転車通勤の影響は電車通勤をしていた人たちにも及んだ。
自転車に乗るという行為が健康にいいこと。
さらには昨今世界的なキーワードである
「環境」
に配慮した移動手段ということで、その波は一気にブレイクしたのである。「自転車という乗り物は環境と健康にいいからね」
と話す市村社長の言葉は、世間一般に浸透したのである。
右肩上がりの業界ではないと話す社長ではあるが、エコロジーを意識する人がこのまま増え続けていけば、その言葉はいい意味で裏切られるだろう。