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世界に誇る日本の技術「電動木彫機」

〜業界シェア7割の“超”振動技術〜 東京オートマック株式会社

「“超”振動技術」で業界トップメーカーに

取材の件で会社を訪れる前に何度か同社に電話をした。その度に電話の向こうからは同じ言葉が聞かれた
「“超”振動技術の東京オートマックです」と。


趣味の木彫りからプロレベルの彫刻まで。ウッドカービング、ログハウス、仏像製作、木彫り等々。
とにかく「木」を彫るという行為に必要なのが彫刻刀やノミといった刃物である。


一般的には利き手でトンカチを持ち、そうでない方の手にノミを握りしめ、木を叩き削っていく。あるいは、利き手のみで削っていくという作業が目に浮かぶ。


だが、実際の作業現場には歯医者さんで見かけるようなハンドツールの先に刃がついた電動木彫機と呼ばれる工具の存在があり、同社はこの商品の業界シェア7割を誇っており、これだけのシェアを有する理由はオンリーワンの技術があるからだと東京オートマック(株)社長杉山治久氏は話してくれた。

モノづくりの会社を興したくて

東急大井町・池上線旗の台駅からわずか100メートルという位置に拠を構える同社。
商店街中のため、辺りには飲食店や物販の店が多い。
その中で一際目立つ看板が同社を訪れる人たちを迎えてくれる。

そんな社内に一歩足を踏み入れれば、そこには同社の工具を使っている彫刻家や愛好家から送られてきたのであろう、完成した作品やその写真が数多く飾られている。

同社の設立は1969年。
杉山社長は創業者ではなく
「モノづくりに携わる仕事がずっとしたくてね。この会社を売ってもらったんです」
とさらりと話すが、実際社長が同社の経営に就いたとき、同社は深刻な業績不振の状態であったそう。

「私が就任した初日に経理が逃げていったのですから(笑)」

と当時の様子を笑いながら話す社長であるが、念願であったモノづくり仕事に就くことを実現したパワーは経営に生かされる。次々とオンリーワンの技術を開発していき、あっという間に業界ナンバーワンの電動木彫機メーカーとしての地位を築き上げていく。

今日では、展示会出店のために世界各地に足を運ぶまで成長した同社。

「ほら、これを見てごらんなさい。
 先日ドバイに行って来たときの写真だよ」と、

社長が見せてくれた1枚の写真には、アラブの富豪なのであろう、真っ白な民族衣装に身をまとった大柄な現地の人と楽しそうに談笑する社長の姿があった。

その後話を聞いていくと米国はラスベガスにはじまりアジアでは上海、ベトナムといった地で開催される展示会場にも積極的に参加しているとのこと。世界各地の展示会場で東京オートマック製の電動木彫機が紹介されているのだ。

電動木彫機とは

手彫りで木を削る場合に比べて約3分の1の力での作業が可能であり、
また作業スピードは早い人であれば5倍にまでなるという電動木彫機。

その仕組みは一言で言えば前述した「超振動技術」なのだが、この振動、実に1分間に刃が動く回数が1万回を超えるそう。
さぞかし強力なモーターを採用しているのであろうと聞くと
「うちはほぼ全ての製品を自社で開発していますから」とのことであった。

モーターの設計からその動力を伝えるカム部分。
また、刃物やボディにいたるまでのその多くを社長自ら設計・開発し商品化してきた歴史が同社にはあるという。

そんな同社が現在扱っている電動木彫機の種類は7種。
2万円を切るDIYユーザー向けのエントリーモデルから、10万円を越すようなプロ使用の工具まで揃い、東急ハンズやホームセンター及び機械工具店で販売されている。

そして、
今では超振動技術は木彫工具の範疇を超え、古くなった塗装面の剥離、あるいは錆落としといった木工以外の分野でも活躍している。

取材中にも某大手重工業メーカーからの問い合わせの場に出くわしたように、大手企業が同社の技術を他の分野で応用するというケースも増えてきているそうだ。

これからもオンリーワンの技術を世に出す

取材に訪れた日も

「ちょうど今日、新しい特許の認可が下りたよ」

と笑顔を見せてくれた杉山社長。

中小企業が懸命に切磋琢磨し優れたオンリーワンの技術を開発したとしても、その技術を活かしきるだけの体力や販力を持たないために、大手企業の大資本の力に吸収され、あたかもその大手企業が開発した技術であるかのように世に出て行くケースが多い。

だが、同社の社長に就任する前にそのような大企業でのキャリアを持ち、経営スキルである中小企業診断士。また、技術面では技術士なる国家資格を併せ持つ同社長にそのような心配は無縁である。

現に、過去に数度同社より遥かに巨大な企業が同社技術を真似た際には、既に獲得した特許を武器にしっかりと裁判で勝ったという経験がある。

業界におけるシェアは現在約7割だというが
「100%のときだってありましたよ」と話す社長。

まだまだ同社からはオンリーワンの技術が溢れ出てくることだろう。
更なる飛躍に期待したい。

会社概要

会社名 東京オートマック株式会社
住所 〒142-0064
東京都品川区旗の台2-7-10
電話 03-5702-0522(代)
FAX 03-5702-0552

東京オートマック株式会社のHPはこちらから

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