会社概要
会社名 | SINKPIA・JAPAN 株式会社 |
所在地 | 〒224-0021 神奈川県横浜市都筑区 北山田 3-5-26 |
電話番号 | 本店 TEL :045-590-3626 FAX :045-593-1150 |
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生ごみ処理が問題となっている。家庭から出る燃えるごみの多くは生ごみだ。
また、飲食店から毎日出る食べ残しや調理ごみ、食品加工業者から出る果物の皮やおからといったごみも生ごみである。
これらすべてを焼却したら膨大なCO2を排出することは明らか。
海外では、集合住宅を新建設する際に生ごみを処理する専用の設備を設置しなければ、建設許可が下りない国もあるという。
日本政府も食品リサイクル法を定め、生ごみは発生場所で処理するよう決めた。そこで活躍するのが生ごみ処理機になる。
SINKPIA・JAPAN(株)では、ごみ処理機の設計・開発・製作を行っている。
1日の処理能力が1キログラムの家庭用タイプから、500キログラムもある業務用の大型製品までを扱う。
サイズに差はあるが、基本構造は同じだ。
機械本体の中にごみ処理能力を持つ微生物を住ませる。
微生物が住みやすい環境をつくり、ごみを中に入れてから
約24時間で発酵消滅するという仕組みだ(食材によって時間差はあるという)。
発酵臭もほとんど発生せず、水と炭酸ガスが出るのみ。
また、業務用においては機械からオーバーフローした微生物が厨房内に住みつき、2次効果が期待できるという。
油汚れの温床であるグリストラップ内を、知らない間に清掃するというから驚きだ。
【注】グリストラップ:厨房排水に含まれる油や残飯を一時的に溜めておく装置。
同社の設立は2006年9月。
韓国製のごみ処理機「シンクピア」を販売する会社として松岡清次代表が設立した。
従来とは違うビジネスモデルで業界に挑んだ同社は、一気に飛躍する。
今では国内メーカーと協力して同社オリジナル製品を開発。
「メイド・イン・ジャパン」ブランドとして、2010年以降更に販売網を広げる構えだ。
同社独自のビジネスモデルとは何なのか? 話しを伺った。
「来場者さまから、
『生ごみ処理機を購入したが思うような効果が得られない』という苦情を展示会場でよく聞きます。
特に、業務用機についてはその傾向が強く、私がごみ処理機の営業マンだと話しただけで嫌な顔をされる方も......。
一方、きちんとした製品であっても、
現状のごみ処理費用と比べた場合にコストが高すぎる。私は仲間と一緒にそのような業界の体質を変えたいのです」
代表が「仲間」と説明するのは、全国各地にある取扱店で働く人たちだ。
同社はあくまでメーカーという立場をとる。そのこだわりは、代表がこれまで歩んできた仕事の経験からきたものだ
代表は数年前まで家電販売業に約40年間携わっていた。
だが、業界の未来に希望を見出せなかったこと、「シンクピア」に出会ってことで
「よし、俺の未来をごみ処理機にかけよう!」とチャレンジしたのだ。
ビジネスを構築していく上で一番気を付けていることは、仲間との連携だという。
「現在弊社では約70店の取扱店と契約して、シンクピアの販売を行っています。
この取扱店を通して商品を売るという仕組みは、家電販売業において過去一般的であったビジネスモデルです」
だが、現在は代表が説明するような家電販売店は次々と姿を消している。
ディスカウント型の大型家電量販店の台頭がその理由だ。昔ながらの町の電器屋さんは次々とシャッターを降ろした。
「地域で頑張っている企業を活性化したいんですよね」と現在のビジネスを始めた根幹の思いを話す代表。
その思いは、販売代理店の人たちに確実に伝わっている。
代表と話していると古き良き日本の商人の姿を思い出す。
同社が総発売元として構え、その下に地域で商売を営む地元商人が販売代理店というかたちでつくのだ。
ユーザーはどんな大きな法人でも、すべてこの代理店から商品を購入しなければならない。
先にも触れたが、このことは過去当たり前であったどこの地域にもあるメーカー直属の家電販売店の姿そのものだ。
どの店で購入しても価格は同じ。
ならば、ユーザーは古くから好意にしている地元業者で買う。
その結果、地域経済は潤うのだ。ましてや同社が扱うごみ処理機は他業者と比べた場合はるかに安く、性能も高い。
「50キロクラスの処理機だと、業界の平均価格は460万円。
ですが、うちの商品であれば300万円で購入できます。また、ランニングコストも水と電気で月額6000円前後とリーズナブルです」
代表の考えはこうだ。
「私たちメーカー、商品を販売してくださる販売店さん、購入されるユーザーさま。
すべての人たちが幸せになるビジネスモデルを考えた結果が、現在の仕組みであり、この価格なのです」
代表は言葉を続けた。
「などと堅苦しいビジネスの話をしてきましたが、本音は気の合う仲間とにぎやかに仕事をしたいだけなんですよ(笑)」
設立からわずか3年で自社オリジナル製品の開発まで手がけるようになった同社は、更に勝負をかけるという。
大手外食チェーンとの契約だ。全国に数百店もの店舗を持つ飲食店との契約が決まれば、売上は飛躍的にアップする。
だが、そのようなビッグプロジェクトにおいても、同社は独自のビジネスモデルを貫く。
「先にも言いましたが、私がやりたい仕事は地域密着型のビジネスです。
ですから、大口の契約が決まっても、それぞれの地域で頑張っている取扱店からの販売というかたちをとりますよ」
最初に契約を取った販売店から文句は出ないのですか? と筆者が聞くと
「うちは、販売店同士も仲がいいからね。
卸価格もすべて同じ。オープンにしているし――。
もちろん、最初に契約を取った代理店さんには、それなりの報酬を弊社から渡しますよ。
ですが、基本姿勢は変わりません。
こないだも、全国各地から集まった販売店の方たちと酒を飲み交わしながら、今後のビジネスについて熱く語りました。
商品の質が高いのはいうまでもありませんが、私たちは商品ではなく人を売っているのです」
家電販売の業界では閉じられたビジネスモデルだが、
代表は再びその扉を開けようと、北海道から九州までを飛び回り、ゼロスタートから現在の地域ネットワークを構築した。
準備は万端。
「業界を獲りますよ」との力強い言葉が、実現する日が楽しみだ。