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「詰め替えそのまま」

〜シャンプー・洗剤の詰め替えパックがそのまま使える〜 株式会社 三輝

エコはしたいが、面倒なのは嫌だ

今でこそ当たり前となったシャンプーや台所洗剤の詰め替えパック。
一昔前まではプラスチックボトルを使い終わる度にごみとして捨て、再び新しいボトルを購入していた。
だが時代は変わり、なるべくごみを減らし使えるものは再利用しようという風潮になった。

それはそれでいい。

だが詰め替えパックをボトルに詰め替える作業を苦手としている人はいるだろうし、
実は詰め替え作業の数回に一度は、タンク内を洗浄しなければ非衛生的であるということを知っている人はあまりいないだろう。

エコに感心はあるが面倒なのは嫌だ 。 そのようなユーザーの気持ちを見事についた画期的な商品を開発した人物がいると聞き、訪ねた。

シャンプーや台所洗剤の詰め替え作業が楽に

日本のものづくりの聖地ともいえる町、大田区。
町工場が軒を連ねる一角に拠を構える会社で、その商品は生まれた。開発したのは(株)三輝代表、阿部雅行氏だ。

商品名は「詰め替えそのまま」

その名のとおり、シャンプーや洗剤の詰め替えパックをボトルに詰め替えることなく、 そのままの状態で使用できるようにした商品だ。

アイデアそのものは、直接パックにフックとポンプを取り付けるというシンプルなもの。
だが「言うは易く行なうは難し」――。

このフックとポンプ、
さらに付属品であるアームには数々のこだわり技術がつまっているのだ。

そのアイデアを実現した代表の好奇心、さらにアイデアマンとしての才能もあるだろうが、
三輝という会社でこれまで長きに渡り培ってきた経験による部分も多いことが分かった。

日本で初めてワンタッチ式流体継手を開発した企業

同社の設立は1968年。

現代表のお父様である阿部務氏が創業した。
創業以来一貫して技術革新に挑んできた同社は、
これまで1000種類もの継手を開発してきたという。

特許の数も20を超え、継手業界ではその名が世界に知れ渡っているそうだ。
なかでも同社がこだわっている技術が「ワンタッチ」

「親父が創業時に開発した日本初の特許技術は、実は今でも使われているんですよ」

同社技術レベルの高さが分かる言葉だ。
OEMの仕事が主であったそうだが、雅行氏が代表に就任してからはオリジナル商品の開発にも着手。
技術的に難しいといわれている水素ガスの継手で、世界初の製品を開発したと代表は胸を張る。

だが......。

誰もが認める製品をつくりたくて

同社はこの水素ガスを安全に制御する継手で、大田区から表彰を受けたという。
そしてそのお披露目ともいえる地元開催の展示会で胸を張り、同商品を説明していたのだが......。

「いくら世界レベルの継手を開発しても、それは狭い世界でのこと。
世間一般の人から見れば『あの会社って、なにをしているんだろう......』そんなもんなんですよ。
でも、ものづくりは大好き。だったら多くの人に役に立つ商品を開発し、皆をあっと驚かせやろう。そう思ったんです」

代表と話していると、その根幹にある思いはまさに「発明家」の気持ちだ。
釣りが大好きだと話し、釣った魚は自宅で自らさばくそうで、趣味においても徹底的に究める性格であることが分かる。
夜遊びも大好きで、マージャンや飲み会の席にはよく足を運ぶそう。その席ではマジックを披露することもあるんだとか。

「とにかく遊ぶことが大好きなんです(笑)。
でもその遊びのなかから多くのアイデアが生まれるんだよね。親父もそんなタイプだったし」
代表は8年前に奥様を亡くしている。
その後4人の子供の面倒を見ながらも、仕事に遊びにと走り回ってきた。

「どうもシャンプーの詰め替え作業が苦手で......」

日々の生活のなかから生まれたアイデアで、「詰め替えそのまま」は誕生したのである。

こだわり技術が満載

ワンタッチの技術にこだわる代表だけあって、
同製品もシンプルで使いやすいのが特徴だ。

引っ掛ける側のホルダーは詰め替えパックを差し込むだけで、簡単にぱちっとパウチされ、
一度引っかかったら強く引っ張っても、スライドスイッチを押すまで取れないよう設計した。

洗剤が出る側のポンプに関しても、様々な形状の洗剤に合うような工夫が施されている。

スクリュータイプの商品はそのままねじ込め、
はさみで端をカットし詰め替えるタイプのパックでも、
ポンプの両サイドにあるレバーを開き、出ている管を差し込みレバーを閉じるだけ。

たったこれだけの手間で、
あとはポンプのふくらんでいる部分を
牛の乳をしぼるような感覚でプッシュすれば、中身が出てくる。
取り外しも同じく簡単、全てワンタッチ式だ。

フックを引っ掛けることのできるアームにもこだわった。
左右どちらに向けても使用できるようにと、ほぼ左右対称に設計。

現状ではφ23〜φ25ミリメートルまでのシャワーフックに対応しているとのことだが、
そこはアイデアマンの代表。

継手製作で培った技術を応用し、新しいバージョンではソケット部分にゴムを採用した。
今後はより幅広いタイプのシャワーフックに対応するだけでなく、揺れもなくなるという。

だがもちろん、現在のかたちになるまでは相当な試行錯誤を重ねたと代表は説明し、その様子をまとめたボードを見せてくれた。

「まだもう少し改良の余地があるかな」と話すが、これまでに6万セットを販売。
月の売上数は右肩上がりで上昇しており、2010年春の段階で月5000〜7000セット売れているという。

楽しみながら開発を続ける

今でこそ月数千単位の売上数となった「詰め替えそのまま」
だが開発当初周りからは、反対の声ばかりが聞こえていたという。

「9割がたの人は反対していたかな。
身内からも嫌な顔をされたからね(笑)。
でも先駆者というのはそんなもんでしょう。
昔ながらのやり方だけをやっていては、新しいものは生まれませんから」

現在同商品の営業を行っているのはご子息だという。

「私が生み出した商品を、
息子が一生懸命にそして楽しみながら売り込んでいる姿を見ると、
感慨深いものがありますよ......」 と代表はほほ笑む。

「どんな仕事でもそうですが、楽しくなければ意味がない。趣味で飯が食えたら最高ですから!」

これからも周りをあっといわせる商品を開発していくと、ものづくり人間としてのその生き方を改めて宣言してくれた代表。
その根幹にある思いは「楽しみながら」というこだわりだ。
今後ますますの活躍、発明に期待したい。

会社概要

会社名 株式会社 三輝
所在地 〒144-0032
東京都大田区北糀谷1-20-8
三輝ビル
電話番号 本店
TEL :03-3742-2345
FAX :03-3745-2359

   株式会社 三輝 のHPはこちらから

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