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「Zプラズマ」

〜ポータブルプラズマ切断機〜 株式会社レイテック

プラズマとは?

昨今の家電製品は、「プラズマ」という言葉が付いた商品をよく目にする。
過去には、火の玉の正体ではないかとメディアで取り上げられたこともあった。

日常生活で頻繁に耳にするこの「プラズマ」という言葉。
だが、その正体が何であるのかを、正確に答えられる人は少ないだろう。

実際、理工系出身の筆者も正確には答えられないのだから。

プラズマとは、一般に電離状態のガス(気体)のことを指す。
電離とは、物質を構成している分子、原子、電子が自由に活動し、気体の正負が中性の状態ということ。

物質は、液体、固体、気体と分けられるが、専門家のあいだではこのプラズマ状態を第4の物質状態といい、特異な状態であると説明している。

身近にあるプラズマは、蛍光灯の内部オーロラ太陽と説明すれば、なんとなくイメージがつかめるのではないか。

「Zプラズマ」という切断工具

プラズマの持つパワーを利用して、鉄板をはじめとする金属板やアクリル板の切断、 また、溶接、ロウ付けといった、メカ系の加工には必須の作業の多くをカバーする工具が、 「Zプラズマ」だ。ただ、プラズマ切断機そのものは以前より世にあるという。 従来品との違いに加え、私たちが鉄板の切断と聞いてイメージする、ガスバーナーなどの切断機との違いを併せて述べよう。

ガスバーナーや従来のプラズマ切断機では、何かしらのガスを使ってエネルギー元を得ている。
つまり、ガスボンベが必要であり、当然そのガスを燃焼させるので、NOX等の燃えカスが出ることになる。

これに対し「Zプラズマ」は、水を温めた水蒸気内でプラズマを発生させる (水を電気の力でプラズマ化)。
つまり、必要とするエネルギー元は、水と電気だけだ。 しかも、水はまるで水鉄砲に水を注ぐように、誰でも簡単にトーチ上部に開いた注ぎ口より入れることができる。 その見た目は、ちょっと太い電気コードが付いた電動工具といった感じだ。

また、アースを必要としないこと、加えて1点に熱源が集まることから、対象加工物が 金属だけでなく、アクリルやプラスチックにも対応しているのが、他の金属加工機との大きな違いだ。

取り扱いに特に資格・制限がないため、誰でも手軽に扱えるのも魅力の1つ。

この画期的な金属加工機は、2002年の発表以来、確実に世の中から支持されてきた。
2003年に中小企業創造法の認定を受けると、2006年にはJR貨物へ納入。 2009年には東京都ベンチャー技術大賞で優秀賞を受賞 し、都のトライアル認定品に選ばれ、現在、都内の工業高校への納入が始まっているという。

プラズマ切断機に魅せられ

「Zプラズマ」の開発者は伊佐太磨喜氏(写真左)。

(株)レイテックの代表であり、
同製品を世に出すために、会社を設立した。

氏は、もともとオーディオのエンジニアとして活躍していたが、
自身の持つ技術を、大きなフィールドで活躍させたいと、
1972年頃ドイツで発明され、
その後日本にも渡ったプラズマ切断機の業界へと転身する。

「当時はガス切断機が一般的。
 どこの造船所や鉄鋼所に営業にいっても、
プラズマで切断機? 何だそれ??
 といった具合に、門前払いでしたよ(笑)。
 ですが、実際に鉄板を  ものすごいスピードでカットしていくのを見せると、
 エンジニアたちはその性能に目を丸くしたもんです」 (伊佐氏)

ドイツ製のプラズマ切断機を日本に広める技術商社に転職した氏は、全国を飛び回り、切断機の営業に奔走する。 そして、その足はアメリカ・シカゴへも伸びた。 その会社で専務まで務めるが、定年退職を間近に控えた59歳の時に、氏は大病を患う。
会社の景気があまりよくなかったこともあり、退職を選択。 傍目から見れば、ここでエンジニアとしての人生は閉幕となるのだろうが......。

「私は道産子でね。このままでは人生を終われないと思ったんです。
 そこで、頭のなかでずっと描いていたアイデアを実現するために、レイテックを設立しました」(伊佐氏)

氏が頭のなかで描いていたアイデアこそが、
今回紹介するこだわりであり、どこでも手軽に持ち運べ、誰でも簡単に加工ができる 「ポータブルプラズマ切断機」の開発であった。

「ポータブル」にこだわったものづくり

「Zプラズマ」の特徴をいくつか上述したが、
最大の特徴でありこだわりの部分が、「ポータブル」という点だ。
作業する際に持つトーチ部分の重さは、
わずか1.2キログラム。電源は7.4キログラムあるが、
一度作業場に持っていけば、特に動かす必要はない。

また、完全なポータブルタイプとして、
電源を背負うリュック型も用意した。

このタイプの登場により、
交通事故をはじめとする災害現場での活躍が特に期待されている。
ざっとではあるが、「Zポータル」の活躍が期待できるフィールドを挙げる。

  • 金属加工現場
  • 解体現場
  • 非常時のレスキューツールとして
  • 研究・実験施設
  • 建築現場
  • アート

もう1つのこだわりが、
地球環境に優しい工具であるということ。
実際に筆者も体験したが、
「Zプラズマ」はトーチ先端部のみが約10000℃という超高温状態になる。
そのため、先端より30センチメートルほど離れれば、
熱源はドライヤーの熱風程度の温度に下がるのだ。

この結果、変なススや火花もほとんど発生しない。
もちろん騒音も低いし、辺りにいる人が熱さを感じることはない。

まさにこれから

溶接機の機能を備えた「ZP3000」が開発されたこと、 そして先にも書いたが東京都のトライアル認定を受けたことで、 まさにこれから世に出ていく最新の工具という印象を持った。

エンジニアを目指し、工業高校・大学で学んでいる学生が企業や工場に就職すれば、 その先で、「Zプラズマ」の素晴らしさを広めることは確実だ。
そうなれば、爆破的なヒット商品として世に広まるだろう。

街の建築現場や災害の場面で、Zプラズマが活躍している姿を見るのが、今から楽しみだ。

会社概要

会社名 株式会社レイテック
所在地 〒104-0032
東京都中央区八丁堀三丁目
25-8 伊海田ビル3F
電話番号 TEL :03-5540-4788
FAX :03-5540-4787

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