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デマンドコントロール装置「スーパーマックス」シリーズ

〜電気の有効利用と電力コスト削減に役立つ「デマンドコントロール装置」〜
大崎電気工業株式会社

「30分間」の電力の使い過ぎを防ぐ

発電所で作られた数10万Vの電気は、最終的に変電所で電圧を6600Vに落としたうえで、電柱や地中配線を通じて、ユーザーのもとに送られている。

家庭や小規模の店舗、工場等は、電柱の上などに設けられている変圧器(トランス)で、さらに電圧を100Vや200Vに落とした電気を受け取っており、これを「低圧受電」(合計50kw未満の場合)という。

一方、中・大規模の店舗や工場、ビルなどの各種施設では6600Vの電気を直接受電し、自社の施設内に設置した変電設備(キュービクル)で電圧を100Vまたは200Vに落とすという「高圧受電」を利用している。
高圧受電ユーザーの事業所には、電力会社が「デマンド計」と呼ばれる装置を組み込んだ電力量計を取りつけ、事業所の使用電気量を計測している。デマンド計とは、毎時0〜30分および30〜60分ごとに使用電気量の平均値(30分デマンド値)を算出するもので、1カ月間におけるその最大値を「デマンド値」(最大需要電力)という。

たとえば電力会社と高圧受電・500kW未満の契約をしているユーザーの場合、このデマンド値が一度でも契約電力をオーバーすると、その使用電力に応じた電力料金が1年間適用されてしまうことになる。つまり、普段節電に努めていても、たまたま、ある30分の間に電気を使い過ぎてしまっただけで、電気料金が跳ね上がるのだ。

そこで大きく役立つのが、電力の使用状況をリアルタイムで把握し需要予測を行い、デマンド値が契約電力や目標電力を超えないように負荷の管理・制御を行う同社のデマンドコントロール装置「スーパーマックス」シリーズなのである。

「最大需要電力」を目標値以内に抑え、省エネを促進

下図の「デマンド予測グラフ」を使い、「スーパーマックス」シリーズの基本動作を説明しよう。同グラフは、管理・制御の対象となる施設や設備の使用電力が、時間とともにどう変化するかを表している。
現時点(t)における電力(青色の実線)が今後どの程度増加していくのかを予測したデータ(「予測電力」)が、青色の点線で表示されている。これを「目標電力」(黄色の実線)に近づけ、かつ「契約電力」(赤の点線)を超えないようにする、というのが同シリーズにおける電力管理の基本的な考え方。

予測電力を、デマンド時限(30分の計測時間)の終了時に目標電力に一致させるために必要な電力値である「調整電力」を算出し、調整電力≧0ならば「電力超過」、警報を鳴らし、施設内の空調や各種機器の負荷を一時的に遮断する。調整電力<0ならば「電力に余裕あり」と判断し、遮断していた負荷の稼働復帰を行う。
遮断方法には、負荷の電源をOFFにする回数を均等にする「サイクリック方式」と、重要度の低い負荷から遮断する「優先順位方式」の2種類がある。

同社研究開発センター商品グループのグループマネージャー・阿部純氏によれば、「スーパーマックス」シリーズにおける電力制御は「前半は荒く、中盤はそこそこ、終盤は細かく」。つまり、デマンド時限の初期は電力制御にある程度の余裕を持たせ、中盤から徐々に精度を上げていき、最終的に目標電力値以内に確実に収めるという考え方だ。最初から厳しい制御を行い、ユーザーの事業活動を妨げるのをできる限り避けるという、こだわりの姿勢が感じ取れる。

ユーザーに我慢を強いずに最大の省エネ効果を実現

最新機種の「スーパーマックス15」は、小型・軽量の普及版。計測データを印字するドットプリンターはオプションで、負荷の制御出力および警報出力も各3回路に抑えられているが(オプションで負荷制御出力を8回路追加可能)、LAN接続に対応し、パソコンのブラウザに「デマンド予想グラフ」や「日デマンドグラフ」などを表示したり、目標電力の変更や計測データのダウンロードなどが可能だ。
HTTPサーバーが内蔵されているため、通信設定が簡単に行え、専用ソフトをパソコンにインストールする手間も省ける。LAN接続のほか、USBメモリ経由で計測データ等をダウンロードし、「エクセル」などでデータ管理・分析も行える。


「スーパーマックス15」では、LAN接続でパソコンと接続し、ブラウザに「デマンド予想グラフ」(左)や「日デマンドグラフ」(右)などを表示したり、目標電力の変更、計測データのダウンロードなどが可能

同シリーズの現行機種は、「スーパーマックス15」のほか、ハイエンド・オールインワン機種の「スーパーマックス707」、省エネシステムベンダー等向けの「スーパーマックスFVP」の3つ。


スーパーマックス15

スーパーマックス707

スーパーマックスFVP

1916(大正5)年に創業した大崎電気工業は、国内シェアナンバー・ワンの電力量計を始めとする、計測制御機器の専門メーカー。最近では同シリーズを始めとする環境・省エネ分野への特化が進んでいるという。

同社が最初のデマンドコントロール装置を世に送り出したのは1978年12月のこと。1978年といえば、原油の供給不足が世界的な経済混乱をもたらしたオイルショック真っ直中の時代。同社のデマンドコントロール装置は、その当時から日本のピーク電力の抑制および省エネに貢献してきたといえるだろう。

奇しくも、それから30年以上の歳月が流れ、2011年3月に起きた東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所の事故以降、省エネ・節電が広く求められる世の中になった。加えて2010年4月には「改正省エネ法」が施行され、従来の工場・事業所単位ではなく、企業単位でのエネルギー管理が義務付けられることに。これにより、多店舗展開を行っているチェーンストアなど、新たに対象となる企業が増え、年間の合計エネルギー使用量が原油換算で1500klを上回る企業は、「エネルギー使用状況届出書」を管轄の経済産業局へ提出する必要などが生じることになる。

こうしたなか、「スーパーマックス」シリーズへのユーザーからの問い合わせ件数や販売台数が増えているという。
「省エネが、ユーザーの皆さんに過度の我慢を強いるものになってはならないと思います。『前半は荒く、中盤はそこそこ、終盤は細かく』といった制御や『サイクリック方式』を始め、皆さんがなるべく無理をしない形で最大限の省エネ効果を実現できる仕組みを考えていきたいですね」と前出の阿部氏は話す。

記事:加賀谷 貢樹
写真: 大崎電気工業株式会社
http://www.osaki.co.jp/

会社概要

会社名 大崎電気工業株式会社
所在地 〒141-8646
東京都品川区東五反田2-10-2
東五反田スクエア

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