会社概要
会社名 | ホッピービバレッジ株式会社 |
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目15番12号 |
電話番号 | TEL :03-3583-8255(代表) FAX :03-3586-6568 |
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酒好きであれば知っている「ホッピー」という飲み物。
以前は赤提灯がかかった場末の飲み屋で多く見かける飲み物であり、
庶民の飲み物というイメージが強かった。
だが、最近では大手の居酒屋や、洒落た飲食店でも見かけるようになった。
若者や女性が飲んでいるケースも多い。
この変化は、ホッピーをつくっているホッピービバレッジ(株)、
石渡美奈社長の改革に起因しており、特にブランディングに力を入れたところが大きい。
彼女は創業者である石渡秀氏の孫にあたり、その手腕が評価され、メディアでひっぱりだこの人物だ。
彼女の名前や顔、あるいは関連記事を読んだことがある人も多いのではないか。
だが、『こだわり物語』では商品にスポットを当てた。
ホッピーその物に込められた、
こだわりについて紹介したい。
ホッピーが誕生したのは1948年。
創業者である石渡秀氏が開発・製造した。
誕生から62年経った今でも、瓶のデザインはほとんど変わっておらず、製造技術は社員によって伝承されている。
ホッピーは焼酎と割って飲む「割り材」だ。
だが0.8%のアルコール分を含んでいる。
その理由を聞くと、まず1つ目のこだわりが聞けた。
「ホッピーをつくっている調布工場の設備は、ビール工場のそれと同じなんです。
もちろん、規模は大手ビールメーカーさんの10分の1以下ですが(笑)。
違っているのはアルコールの含量だけ。
ですから、弊社では地ビールも製造しているのですが、ホッピーと同じ設備でつくっています」(石津氏)
取材に対応してくれたのは「ホッピーハッピー情報局」なる、
ユニークな肩書きを持つ石津氏。
お酒を飲むことが大好きで、特にビールが好きであったが、
就職活動で同社を訪れ、おいしいホッピーを飲んだことがきっかけで、入社を決めたというエピソードを持つ人物だ。
「アルコールというのは旨み成分です。
ですが、1%を超えるとお酒扱いとなります。
比率を抑えながらもおいしい味を出すことが大変だったそうで......。
研究開発を重ね辿りついた数字が、0.8%だと聞いています」(石津氏)
ホッピーは上述した調布工場で、毎日20万本つくられている。
もちろん自社工場による自社生産だ。
赤坂にある企業がなぜ調布という地域を選んだのか?
そこにもおいしいホッピーをつくりたいとの想いとこだわりがあった。
「調布の町にはホッピーづくりに適した豊富な地下水が流れています。
ですから、あの辺りには美味しくきれいな水が欠かせない、
深大寺そばや、大手ビール工場があるんですよ」
調べてみると、
今でも調布市というのは、市民が利用する水道水の約3分の2が地下水だという。
そのうまい地下水からホッピーはつくられているのだ。
麦芽、ホップ、酵母は、選び抜かれた天然素材を使用。
麦芽は二条大麦アレキシス種、ホップは世界最高品質と称される、
ハラタウ産のアロマタイプとビタータイプを使い分け、
年間を通して同じ味になるようにと、社員が微妙な調整をしているそうだ。
酵母はミュンヘンにあるワイヘンシュテファン酵母銀行より仕入れる。
原料全てに対し、徹底的にこだわっていることが分かった。
「素材へのこだわりは、メーカーですので当然だと思っています。
加えて、醸造発酵技術の伝承という"人間力"がなければ、
創業来の味は守れませんよ」(石津氏)
「一番の理由は『味』です。
創業者のこだわりである、選び抜かれた天然素材からつくられたホッピーの繊細なおいしさや香りを、
少しも損なわずお客様に楽しんでいただくには、
無臭のガラス瓶が、一番適しているのです。
また、ビンはリサイクルでき環境に優しいですから」(石津氏)
「運ぶのが重い」、「廃棄するのが面倒だ」という声も聞くそうだが、 創業来続いている「本物へのこだわり」を貫き通しているのだ。
「ホッピーをおいしく飲むには、氷を入れないことです」(石津氏)
飲み屋でホッピーを注文すれば、氷と焼酎の入ったジョッキとホッピーのガラス瓶が運ばれてくる。これが大半だろう。
だが、本格的なホッピーを飲ませてくれる店(というのがあるそうだ)では、
キンキンに冷えたジョッキに冷えた焼酎が入り、もちろんホッピー自体も冷えたものが出されるという。
「弊社では『3冷』という飲み方をお勧めしています。
割る比率も焼酎が1のホッピー5にしてください。
ぜんぜん味が違いますよ。
私はこの3冷ホッピーを飲んで、入社を決めたのですから(笑)」(石津氏)
東京近郊では多くの人が知っているホッピーだが、
全国的な知名度は低いという。
「首都圏でのシェアが、全体の8割ほどです」(石津氏)
以外にもホッピーは東京ローカルな飲み物なのだ。
そこで筆者は
「では、今後は全国に広める事業展開を考えているのですか?」
と聞くと、
「いえ。本社があり創業の地である赤坂、また工場がある調布の地に根ざした飲み物で在りたいと思っています。
私どもが考えている会社の未来像は、小さくてもきらりと光り続ける組織です。
その実現のためには、地域に密着し、地元のお客様から必要とされる企業として、
さらなる成長をする必要があると考えています」(石津氏)
次にホッピーを飲む際には、ぜひ「3冷」で飲みたいと思う